本文へスキップ

6.ペルシャ更紗について

インドからペルシャへ

インドからペルシャに渡った更紗は、ペルシャでも紀元前2千年ごろから染められ始めていたといわれています。6、7世紀までに非常に美術工芸の栄えたペルシャでは、絨毯、刺繍の技術とともに、染色でも世界をリードしました。


ペルシャ更紗「ガラムカール」

ペルシャ更紗は産地イランの言葉、ペルシャ語で「ガラムカール」といいます。「ガラム」は筆、「カール」は仕事の意味。ペルシャ更紗の模様は以前は全て一つ一つ筆で描かれていたために、この名がつきました。現在のペルシャ更紗は通常いわゆる「木版ブロックプリント」いわれるもので、版木に模様を手で彫刻したものに色を付け、模様を染め付けています。


ペルシャ更紗の模様

ペルシャ更紗の模様はインド更紗と共通するものが多く、技法的にもインド更紗と変わらない為に古いものにはどちらで染められたのか見分けのつかないものもあるほどです。ただインド更紗が幻想的な文様が多いのに比べ、ペルシャ更紗には自然表現が多く、ヨーロッパからの影響も見られるのが特徴です。イスラムやゾロアスター教の影響により糸杉やペイズリー文様も多用され、間に配置される草花は小ぶりでかわいらしいものになっています。


ペルシャ更紗の産地

ペルシャ更紗の産地は、かつて「世界の半分」と称えられ、その文化を誇るイスファハーンです。サファビー朝のシャーアッバース一世が興したペルシャ芸術ルネサンスの中心舞台となったこの古都イスファハーンは美しいタイル芸術で知られるイマーム広場など見所が多く、品質の高い絨毯の産地としても有名です。イスファハーンの工房で昔ながらの手法で作られるペルシャ更紗は、首都テヘランをはじめ各地へ送られるとともに、イスファハーン各所の由緒あるチャイハネ(ティールーム)のテーブルや壁に華をそえています。


日常使いのペルシャ更紗

おみやげ物としても人気の高いペルシャ更紗ですが、イランの家庭ではごく自然にインテリアに取り入れられています。

地方によって家屋もさまざまなイランですが、テヘランのような大都市や地方都市でも少し上流の家庭では通常ヨーロッパ調の家具やインテリアが好まれています。アンティークないすやテーブルのそろえられたリビングに、それとなく飾られたペルシャ更紗はその独特の雰囲気にかかわらず見事に調和し、部屋をより美しく見せているのが印象的でした。

多くはテーブルクロスやソファー掛け、リビングボードのポイントなどに使ってあり、部屋の模様替えなどと共に別の模様の更紗に一新したりして、変化を楽しんでいました。 また、ドイツのイラン人留学生の部屋ではタペストリーとして壁に貼って飾っているのを時々見かけましたが、白い壁に美しい更紗模様がとても映え、目を奪われたものでした。

お洗濯も簡単で、ちょっと厚みのあるペルシャ更紗はインテリアファブリックとしてとても使いやすい、便利な布でもあるのですね。


更紗の話


→ペルシャ更紗の販売ページへ