そもそも「更紗」とはなんなのでしょうか。 世界各地でさまざまな発展を遂げ、日本の染織りにも深く影響を及ぼしたこの「更紗」、その多様さも手伝ってはっきりした定義が難しくなっているのですが、「花や人物などの模様を染めつけた木綿の布」というのが、おおよそ共通した認識になると思われます。
日本で「更紗」というと、美しく高価な絹の着物地を思い浮かべる方も多いかと思います。それは、シルクロードにのって運ばれてきたこの「更紗」がその異国情緒で人々を魅了し、「和更紗」と呼ばれる日本独自の更紗を発展させ、現代に伝わるからなのです。
もともとはインドで作られ始めたというこの更紗、シルクロードに乗って西へ東へ運ばれて、それぞれの国で独自の発展を遂げ、その多くはペルシャ更紗のように今なお染められ続けています。
日本語の「更紗」は実は「サラサ」に漢字を当てたものであり、その語源にはさまざまな説があります。
未だ定説はないのですが、インド語で“美しい織物”を意味する「サラサー」を語源とする説、ポルトガル語の“美しい布”「サラシャ」だという説、またはインド西海岸の古い港町「スラット」がなまったものだという説などそれぞれ更紗の歴史を反映しながら、なるほどと思わせる所が面白いところですね。