品番 k19174
品名 オールドキリム(スマック織り)
サイズ 約208×150cm
素材 ウール、模様の一部と縦糸にコットン
織り 手織り
原産国 イラン、シルジャン
送料 無料
価格 SOLD
夜色の深い藍に浮かび上がる二つの大きな文様。直線と鋭角に包まれながらも凛として優美な姿は薔薇の花を思わせ、くっきりと縁どる白のきらめきが涼やかな輪郭を照らし出しています。イラン北東部、ケルマン州の町シルジャンで1970年代に織られたオールドスマックキリムです。
スマックとは平織のたて糸に追加の色糸を巻き付けながら文様を織り出していく技法です。キリム織りの中では最も時間と手間がかかり熟練した技術を要するものですが、織りあがりは繊細で美しく、また隙間もなく厚手に仕上がる織り地は非常に丈夫です。
高度な技術による緻密な織りと繊細な柄行きで広く知られるシルジャンのキリムですが、古い時代に織られたこの種のシルジャンキリムは深い色味と大胆な文様、そして幾重にも糸を重ねるスマック織りの性質を生かした重く分厚い質感を特徴としています。丈夫なコットンの縦糸に太くボリュームのあるウールの色糸で太くはっきりと織り出される文様は、細部の妙よりも大きく迫力のあるシルエットと深く壮麗な色模様で見る者の心を捉えます。
長い時を経てほの褪めた糸色は濃い淡い色むらをそこここにくゆらせています。藍色の枠組みの中で紫と赤は水に溶かしたように揺らめき、オレンジは黄と、オリーブ色は濃い明るいモスグリーンと入り混ざっています。モチーフの白い部分にはコットンの糸が使われており、やわらかな渋みをまとうウールの彩りの間でからりとした明るさを際立たせています。
幾重にも重ねられた太い糸はしっかりとした厚みを生み出し、織り地を持ち上げてみると弾力のあるほってりとやわらかな質感と、濃く充実した糸の重みが手に伝わります。表面の糸の毛羽立ちはよく擦れてすっかりやわらぎ、しっとりとしたコットン糸の手触りも相まって撫でるとさらりとやわらかです。色彩の変化のほかにはよく見ると色糸の小さな擦り切れがちらほらとありますが使用に差支えはなく、混沌とした色模様に溶け込んでいます。仕入れ後には専門業者の2度の水洗いを経て細部を整え、上下に出された縦糸のフサは数本ずつの束に縛り、その2辺の裏面には人工革の帯を取り付けました。
リビングのセンターラグやダイニングテーブルの足元などに。どっしりと床に落ち着く重みが頼もしい、端正で美しいシルジャンのオールドスマックキリムです。