赤い大地に３つの池、そして見渡す世界にあふれるほどの、群れ、集い、駆けまわる多種多様な動物たち。
枝に並んでさえずる鳥に、生き生きと走る鹿やヤギ。ゆったり座る大きなラクダに遊ぶ子ラクダ、向き合う水鳥に記号のような蝶まで、砂漠で出会うあらゆる生き物を次々に写し出す目運びは自由気ままに弾み出し、ユニークなシルエットの動物をあちらこちらに入り混ぜています。
華やかに突起を伸ばして並ぶ3連のメダリオンはサソリの形の大きな池にひし形の島を浮かべ、ここにも鳥や動物が所狭しと集まっています。つがいの水鳥が住む水色や藍色の水にはさざ波のような点々が浮かび、ちらちらとした流れを輪郭の外まで揺らしてきらめきを放っています。
イラン北西部、ダシュテモガンで織られたスマック織りのキリムです。スマックとは平織のたて糸に追加の色糸を巻き付けながら文様を織り出していく技法です。キリム織りの中では最も時間と手間がかかり熟練した技術を要するものですが、織りあがりは繊細で美しく、また隙間もなく厚手に仕上がる織り地は非常に丈夫です。