３メートルの大きなキリム　イラン・クルド族　300×145cm　藍と珊瑚色

* オールドキリム　 *

ゆらりと長い藍の水面に、揺れてきらめく花のつぼみ。
横幅を区切る幾重もの枠は縞模様のように細長く、花で埋まった水路のようなゆったりとした縦の流れを感じさせます。
大きく連なる3つのひし形の文様はベージュの縁取りに薄赤をほの照るように映えさせて、中央には水鳥を、その上下には薔薇を浮かべて複雑にもたおやかな、ミステリアスな意匠を広げています。
イラン北西部の町、ビジャーの近郊で織られたクルド族のキリムです。1950年代には使われていたとのことですが、長く大きな織り地は当時の典型的な家庭用のキリムの形をそのまま残し、上下に出されたたて糸の房部分を編み上げ、または短く織り込んで補強してあるほかには直された跡もなく、織り上がりの状態を非常によく保っています。
強くしなやかなコットンのたて糸に中細のウールの横糸を用いて織り詰められた地は、クルド族特有の曲線織りを巧みに操った小さな文様で埋め尽くされています。スリット（横糸の色を変えるときに生じる縦方向の隙間）を最小限に留める細やかな織りは文様の輪郭にくにゃりとした丸みを生み、入り組んだ繊細な形に生き物めいた、不思議な柔らかみを纏わせています。（←）

品番	k14905
品名	オールドキリム
サイズ	約300×145㎝　（フサは含みません）
素材	ウール、たて糸コットン
原産国	イラン・クルド族
価格	SOLD
送料	無料

（→）主体となる藍と赤、オレンジに緑の染め色は年月を経て赤とオレンジが共に褪め、溶け混じり合うことによって、緑の艶を秘めた藍と夕映えのグラデーションの美しいコントラストに昇華されています。
藍の中に無数に漂う水草のような植物は一つ一つに藍の亜種のような青緑、濃淡の抑揚を揺らす赤をたたえてある種の版画のような幻想的な色表情を広げています。
中央の2重のひし形を埋める水鳥は上下のひし形の薔薇の間にも至る所に混ざり込み、時には葉の一部のように変形して植物に同化しそうな息遣いを感じます。
詰んだ織り目は使い込まれて馴染みあい、表面はキリムの無骨さがこすれてさらりとした手触りになっています。平織のぺたりとした厚みは持ち上げてみると意外なほど重く、弾性のあるしなやかな質感が床にぱたりとよく落ち着けます。大切に使われたものとみられ全体に傷みはほとんど見られず、両面ともに表として使うことができます。
ゆったりとした大きさと精密な文様が視線も心も惹きつける、堂々とした存在感を誇るオールドキリムです。

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