オールドキリム　クルド族　k14394/　クラフトワーク

* オールドキリム　 *

（→）植物のバリエーションのように思える形はよく見るとフィールドの中では多くが鳥の姿を表しています。右や左に頭を向けて羽を広げた鳥たちはともすると花を冠した植物やつぼみのシルエットと見紛い、植物が変容し、意思と翼を得たかのようです。織られた当初は濃く艶やかだった筈の赤やオレンジ、藍や紫がはらりと枯れた染め糸は、羊毛本来の繊維の色の違いを透かし出し、一つ一つで異なる色糸を配されたモチーフとともにより細やかな、朧な抑揚を揺らめかせています。
織り地は全体にぺらりと薄手ながら糸の重みを感じさせ、弾力のあるしなやかな質感がぺたりと床によく収めます。表面の手触りは、糸の硬さがよくこすれてさらりと和らいだ手ごたえの中に、キウイのような細かな毛羽立ちはまだ残っているのを感じます。
リビングやダイニングにはもちろん、書斎や寝室の静かな空間の中にも。醒めた色彩がさらりとした明るさをたたえる、優美なたたずまいの一枚です。

埃の積もった古いノートの、黄ばんだページの間に見つける忘れていた押し花。ピンクやグレーの淡い抑揚はさらりと乾いた色肌に昔の染め色の面影を留め、思いがけず残された花びらの赤みや、太古の壁画の消えかかった顔料の名残を思わせます。
幾重もの枠やダイヤの構成の中でゆらゆらとゆれるようなモチーフは丸みを帯びてやわらかく、植物や花のつぼみの輪郭を纏っていてもどこかとりとめのない、生き物の動きを感じさせます。
イラン北西部、ビジャーの町近郊で織られたクルド族のキリムです。1960年代に使われていたものとのことですが、点在する横糸の細かな擦り切れと親指ほどの補修跡（部分写真・右上、他一箇所）が見られるほかは特に大きな傷みは見られず、織られた当初のままの形をよく保っています。
白いコットンの縦糸に細めのウールの横糸を用いて細やかに織り上げられたもので、曲線を多用する独特のモチーフを特有の技法で自在に織り出しています。繊細な織り目は花のつぼみや葉を広げた植物の輪郭をきれいに描きながらも一つ一つの形は自由かつ柔軟で、よく揃ったモチーフの列も息づくようなくつろぎを感じさせます。（←）

品番	k14394
品名	キリム
サイズ	約187×122cm　（フサは含みません）
素材	ウール
原産国	イラン・ビジャー
価格	SOLD
送料	無料

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