落ち着いた色合いに独特の横縞模様が繰り返される、カラートという小さな町で織られたキリムです。模様の織り出し方が特徴的で、横糸の色を変えるとき糸を折り返さず、表に出ない糸を裏側に渡しておく編み物のような構成になっています。裏表があるかわりにスリット（模様の間の隙間）は生じず、しっかりとした丈夫な質感を持ちます。細かな連続模様が繊細な、上品な印象のキリムです。

幅2メートル、縦3メートルの大きな織り地いっぱいに、エレガントな表情を広げる縞模様。こげ茶のような紫のような濃く渋い糸色を基調とし、オレンジめいたほの明るい帯がそれぞれの文様を乗せてゆったりと繰り返されています。
何色と一言で表しがたい不思議な色合いは、数色の糸をより合わせたミックス色の横糸によって織り成されています。こげ茶めいた濃い層は赤茶にベージュ、緑または濃い藍の4色で2種の糸を紡ぎ、豊かで複雑な色表情を描いています。