朝もやのようにただよう色むらの中に浮かぶ、4匹のヤギと一対の植物。それぞれに向き合う可憐なヤギは静かに佇み、大きな花や実をつけた命の木はしっかりと根を張り躍動的で、今にも踊り出しそうに枝を広げています。
染めていない羊の毛色そのままの地色はほんのりとした薄黄色の濃淡に茶やグレーの繊維が色濃く入り混じり、時に棚引くように、時に斑点のように浮かびあがり、抑揚のある地模様を描いています。
ふかりと先のほどけた長い毛足はたっぷりと詰まって立ち上がり、豊かな厚みを支えています。表面を押すと指先が隠れるほどにやわらかに沈み、撫でると一本ずつの毛足のほこほことしたまとまりと、厚く重なり合った糸のしっかりとしたボリュームを感じます。