しっとりと染みわたる、山葡萄の紫。香り立つような色味はゆらゆらと揺らめいて、夜の底の藍に沈むと思えばきらりと華やかな、透けるワインの赤を浮かべます。
えんじに藍を染め合わせた糸色は青みを帯びたピンクから黒に見える深い藍までの濃淡を染め出しながら、羊毛繊維の褐色をも加えて深く豊かな色味を溶け合わせています。濃い藍の色濃い流れに染まりながらもふわりと陽の差すような明るさがそこここに赤みを棚引かせ、全体には甘やかな、濃い赤紫の印象を放ちます。
光を受ければ艶やかに赤みを強め、夕刻や曇りの日には白い毛艶も照らしきれないほど深みを増す流れのなかで、一面に散らばる小さなヤギや植物のモチーフは時を選ばず妖精のようにふわりと光り、淡いピンクや緑の糸がきらりと浮かび上がります。