遠目に眺めればほんのりと白めいた、なんともやさしい糸色。かさかさと溜まったイチョウの落ち葉を思わせる穏やかな黄色はふわりと陽に照らされて、より淡く明るく輝きます。羊毛色を透かして軽やかに染まった糸は濃いからし色から薄黄色までの濃淡をさらりと揺らしながらそこここにこげ茶の繊維色を浮かべ、木炭でこすったような墨色のすじをときに控えめに、ときにはっきりと描き出しています。
穏やかな毛色を大地に見立てて一面に散らばるヤギや植物はえんじの彩りと爽やかな空色が目を捉え、小さくも丁寧に織り出された可憐な姿がギャッベを愛らしく引き立てています。
毛足は細やかで腰があり、立ち上がってほっこりとした厚みを持ち上げています。一本ずつのまとまりを残しながら密集した糸は触れると安定した手ごたえを返し、撫でるところころと細かな毛のまとまりが手のひらを流れるのを感じます。