ゆったりと横幅のある大きな織り地を広げると、明るい彩りと朗らかな印象に視界と心が満たされます。羊毛のまろやかなベージュの内側は一面に大きな市松に区切られて、そのとりどりの色彩はどれも不思議なほど明るく光に満ちて見えます。
細い縞や細かな市松、ギザギザ模様を随所に散りばめながらひとつひとつ配色を変化させてゆく升目は、艶やかな赤、深いえんじを映えさせながらもそのほとんどがかすかに白を垂らしたような、ほの甘い中間色を揺らめかせています。
淡く染まった茶ベージュやオレンジ、配合を少しずつ変えた空色と緑の透けるようなバリエーションはそれぞれに羊毛の茶のすじと染めむらを重ね、震えるような細やかな抑揚を放っています。
升目ごとに表情を変えて織り込まれたモチーフは、花や常緑樹、動物に女の子とギャッベ特有の題材を繰り返しながら、細やかな配色とユニークなデザインから織り手のウィットと創造の喜びが伝わってきます。