夢見る響きを生む黄と青のコントラストは、ロマンチックな空色と、古めかしさを美徳に得た静かな黄を軽やかな音楽に奏で合わせます。
生き生きとした花々は豊かな種類とうねるような力強さで視線を捉え、惹き込まれて眺める細部もメダリオンと呼応する枠模様もまた、黄と水色、藍と黄金色の澄んだ和音で満たされているのに気がつきます。
イラン中西部の都市、イスファハン郊外で織られたオールドペルシャ絨毯です。サファビー朝ペルシャの首都として栄えた古都イスファハンはアッバース王の下、芸術の都として花開きました。ペルシャ絨毯はこの地で美術品の域に高められ、生み出された数々の美しいデザインは現在に至るまでイラン各地の絨毯に織り継がれています。
1980年代に織られたこの絨毯は、家庭織りの伸びやかな表情を放ちながらもあか抜けた色模様が品のあるたたずまいを広げ、優美な花々の間にはやはり大輪のシャー・アッバースの花（様式化された花の断面図）が咲き誇っています。コットンの縦糸に細やかに織り詰められた毛足は1平方センチあたり約36目という精密さを誇り、充実した毛並みはすっきりと薄手にも触れると密度の濃い弾力を感じさせます。